◆小特集の趣旨
2025 年 8 月に横浜で第 9 回アフリカ開発会議(TICAD 9)が開催されました。前回のTICAD 8 では,改め
て日本とアフリカの関係強化が表明されました。アフリカの貧困は地球規模の課題であるとともに,アフリカ
市場は民間企業の商機として日本の国益とも合致することから,この関係強化の傾向は今後も長く続くと考え
られます。このうち,農業分野の支援では特に,生産現場の実態を踏まえて長期的に継続することが肝要です。
サブサハラ・アフリカのコメ生産量の増加を目標とする「アフリカ稲作振興のための共同体」(CARD)におい
ても,日本の稲作の知識,経験,技術力をもとにした支援活動が取り組まれています。
CARD は 2008 年時点の年間 1,400 万t から 2018 年には 2,800 万t 以上へと,「サブサハラ地域でコメ
の生産量を 10 年間で倍増させる」目標を達成させました。この成功を受けて 2019 年には CARD フェーズ2
を立ち上げ,2030 年を目標年として 5,600 万t へと,さらにコメ生産量を倍増させる次なる目標を掲げてい
ます。この目標を達成するに当たって,CARD は倍増に至る道筋を重視しており,灌漑や低湿地開発をコメの
生産安定化に向けた取組みに挙げ,住民参加型の小規模灌漑開発を具体的な活動として例示しています。この
ように CARD における農業農村工学が果たす役割は大きいといえます。
今後も成長を続けるサブサハラ・アフリカへの農業支援を加速させるため,将来展望を見据えた現場からの
活動事例をお届けします。
◆展 望 「アフリカにおける研究開発と社会実装」
国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター 石島光男
◆小特集報文
「小規模農家の主体的参加による小規模灌漑開発手法の可能性」
(株)三祐コンサルタンツ海外事業本部 家泉達也
「CARDの現場における重層的アプローチが及ぼす行動変容」
NTCインターナショナル(株) 國安法夫・滝川永一・森 卓
「ルワンダの灌漑運営能力強化に向けた継続的支援の展開」
(独)国際協力機構JICA 海外協力隊 木下滉大
NTC インターナショナル(株) 小林維円
「エチオピアの農業保険普及の自立発展に向けた協力と実践」
(株)三祐コンサルタンツ 西川拓生
