◆小特集の趣旨
持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「すべての人々に手ごろで信頼でき,持続可能かつ近代的なエネルギー
へのアクセスを確保する」のターゲットのひとつに「世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギー
の割合を大幅に拡大させる」ことが掲げられています。世界の再生可能エネルギー発電設備の容量は,2015
年度に石炭を抜いて最も容量の大きい電源となり,その後も年々導入ペースが増加しています。わが国では
2012 年に「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」(再エネ特措法)の施行(2024 年改正)
により,固定価格買取制度(FIT)の導入がされて以降,再生可能エネルギーの普及が進み,総発電量に占め
る再生可能エネルギー電気の割合は2011 年度の10.4%から2022 年度時点で21.7%まで増加しました。
他方,農山漁村への再生可能エネルギーの導入は,土地,水,バイオマス等の未利用資源の有効活用,地域
内経済循環の創出による経済的メリットのほか,温室効果ガス排出削減,災害時の電力供給,地域コミュニティ
維持等への活用が期待されます。農林水産分野においては,2013 年に「農林漁業の健全な発展と調和のとれ
た再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律」(農山漁村再生可能エネルギー法)が成立し,翌年に
施行されました。本法成立・施行からおよそ10 年が経過し,関連技術の進展やさまざまな取組み事例・課題
が蓄積していると考えられます。農山漁村における再生可能エネルギー普及への取組みは農業農村整備事業の
方向性や地域計画に関わり,情報共有は今後の展開に重要です。本小特集では,農業農村工学における再生可
能エネルギー利用や普及について,技術報告や取組み事例,今後の展望などの報文をご紹介します。
◆展 望 「農業・農村と再生可能エネルギー」
農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課再生可能エネルギー室長 栗田 徹
◆小特集報文
「農山漁村エネルギーマネジメントシステム(VEMS)の研究開発」
農研機構農村工学研究部門 石井雅久・土屋遼太・中村真人・後藤眞宏・渡邉真由美・森山英樹
木村健一郎・芦田敏文・遠藤和子
「農業用水路における再生可能エネルギー熱」
農研機構農村工学研究部門 三木昂史・後藤眞宏・石井雅久・中矢哲郎
「家畜排せつ物を原料とするメタン発酵システム導入の展望」
(一社)日本有機資源協会 柚山義人
「農村地域のメタン発酵における生分解性資材の利用可能性」
農研機構農村工学研究部門 折立文子・中村真人・藤田 睦
(一社)地域環境資源センター 柴田浩彦・是川和宏
「寒冷地域における氷冷熱の賦存量および利用可能量の評価」
帯広畜産大学 木村賢人
北海道大学大学院 及川樹也
帯広畜産大学 中島直久・宗岡寿美
「水田営農型太陽光発電の現状と課題」
九州大学大学院農学研究院 谷口智之
九州大学大学院生物資源環境科学府 迫田美和
九州大学農学部 山本健志
九州大学大学院農学研究院 岩田幸良
「稲作におけるエネルギー消費特性と再生可能エネルギーの活用可能性」
農研機構農村工学研究部門 芦田敏文
流通経済大学 唐﨑卓也
農研機構農村工学研究部門 渡邉真由美・藤井清佳・木村健一郎・上田達己
「農業農村における再生可能エネルギー熱の導入促進」
新谷建設(株) 大内幸則
