学会長からのご挨拶

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公益社団法人 農業農村工学会 第26期会長  村上 章 (Murakami Akira)

 平成30年5月29日開催の農業農村工学会第251回理事会において,第26期会長に選任されました。
会員ならびに関係各位のご支援,副会長をはじめとする理事ならびに学会事務局各位のご協力を頂戴して,その職にあたる所存です。 農業農村工学会の目標である 「農業農村工学の進歩及び農業農村工学に関わる研究者 ・ 技術者の資質向上を図り,学術 ・ 技術の振興と社会の発展に寄与すること」 に沿った運営を推進いたします。
よろしくお願い申し上げます。

 最近の農業 ・ 農村をとりまく社会,国際,自然環境は,以前にも増して変化を速めています。 産出額が2年連続増加の農業,さらなる発展に向け海外も視野に入れた取組みの推進,日EU ・ EPA交渉の妥結と対策,動き出した農泊など大きな転換が生まれています。 農業において担い手の高齢化や減少は喫緊の課題ですが,近年49歳以下の新規就農者数が比較的高い水準で推移するという明るい兆しも見られます。 農業の持続的発展に向けて,次世代を担う若手農業者が,付加価値の向上,規模拡大や投資を通じた生産性の向上に挑戦し,効率的かつ安定的な農業経営を実現することが重要です。

 このように次代を担う人材確保と育成のための重点的な対策の実施は,農業農村工学分野においても同様です。 具体的には,農学系学部受験者の減少,農学系大学院研究科における博士課程進学者の深刻な減少傾向を打開すると同時に,若手教員 ・ 研究者ポストを確保することが求められます。

 そこで,今期における学会全体の運営方針としては,大学改革等に対応した存在意義の明確化を目標に掲げ, 1. 次代を担う人材の確保と育成, 2. 行政との連携, 3. 学会の活性化,を引き続き推進してまいりたいと思います。 全体的な取組みは,良い方向に進んでいると考えていますが,国公私立を超えた再編制度も検討され,大学をめぐる情勢は厳しいものがあると考えています。 微増傾向を示す正会員に比して,180名を下回る学生会員,特に学部学生会員の減少対策など,引き続き人材確保に向けた努力を継続することが重要です。

 昨年4月に農林水産省が決定した農業農村整備に関する技術開発計画では,連携強化のために 「公益社団法人農業農村工学会の研究部会 ・ 講演会,地域ブロック単位での交流会 ・ 研修会,関係機関による共同研究等の積極的な活用 ・ 実施を通じて,試験研究機関,大学,民間企業,行政間の連携,多様な学術分野との連携を促進し,新たな技術シーズの醸成,ニーズに即した技術の開発,現場における実証 ・ 普及を推進していく」 となっています。 農業農村工学は,このようなさまざまな方法による技術開発を通じて,人材確保と育成を進めることが必要です。

 そのほか, 「食料の安定供給の確保」 , 「強い農業の創造」 , 「地域資源を活かした農村の振興・活性化」 , 「極端な気象現象や大規模地震等国土強靱化」 など取り組むべき課題は非常に大きなものがあります。 それに関わる学術 ・ 技術の振興をめざす当学会の役割と責任はますます大きくなっています。 「これからの農業・農村のあり方」 を考究し,得られた知見や新技術を社会に還元する役割を担う研究者 ・ 技術者には大きな期待が寄せられています。 しかし,この課題は単独の機関で解決できるものではありません。 教育,研究,行政,民間をも含めた関係するすべての機関が協力し,若い人々に 「農業農村工学」 が魅力ある分野であることを発信し,同時にこの分野で活躍することに生きがいを感じられる仕組みを,知恵を出し合って,考える必要があると思います。

 来年度は学会創立90周年に当たり,今年はそのプレイベントとして 「PAWEES-INWEPF 国際会議 奈良2018」 を11月に開催します。 また来年度は学会創立90 周年の式典や関連事業に取り組む時期となります。 この節目の時期に会員が一丸となって,次代を担う研究者 ・ 技術者の育成と,研究成果の最大化に取り組むべく,学会活動の活発化を図りたいと考えています。

 会員各位のより一層のご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。