学会誌 第88巻第8号「多様な主体が住み続けられる農村」の振興(2020年8月発行)

◆小特集の趣旨
 多様な主体が住み続けられる農村社会の構築が求められています。そのために一つには,農村に住むための
基礎的条件,さらに,住みたくなる条件の整備を進めていくことが必要です。あと一つには,地域資源を適切
に保全管理しながら,同時に持続可能な形で最大限活用し,農業・農村の多様性を活いかした農村振興を図るこ
とが必要です(食料・農業・農村政策審議会農業農村振興整備部会の第1 回(令和元年6 月24 日)の配付資
料「農業農村整備の新たなフロンティア―新しい時代が到来する中での農業農村整備の課題整理―」)。
 具体的には,たとえば「条件不利地域における多様な主体が連携した地域づくり」として,中山間地域にお
ける特産品の産地形成や,営農体制の確立と企業誘致などが挙げられます。また,「担い手以外の者が引き続
き住み続けるための方策」として,集落営農による全員参加型の地域農業なども挙げられます(平成30 年度
水土文化研究部会研究会,石井克欣農林水産省農村振興局計画調整室長資料)。
 本小特集では,「多様な主体が住み続けられる農村」の振興に関する事例を通して今後を展望する報文を広
く紹介しています。

◆展 望 「多様な主体が住み続けられる農村」の人と人との関係 茨城大学農学部 福与徳文

◆小特集報文
水田地域が有する雨水貯留機能による豪雨対策」
     九州大学大学院生物資源環境科学府 西小野康平
     九州大学大学院農学研究院 谷口智之・凌 祥之

断水時における農業・農村関連施設の活用事例と対策」
     九州大学大学院生物資源環境科学府 和泉晴日
     九州大学大学院農学研究院 谷口智之

豪雪中山間地の集落活動に重要な役割を果たす集落営農」
     新潟大学農学部生産環境科学科 寺尾桃香
     新潟大学自然科学系 坂田寧代

地域住民と農業者の連携を目指した地域活動の事例」
     農研機構農村工学研究部門 矢挽尚貴
     柿崎土地改良区 上野勇人
     柿崎土地改良区,(株)ふるさと未来 髙橋賢一
     柿崎土地改良区 佐藤昌貴

農村社会での多様なニーズとそれをくみ取る仕組みづくり」
     福島大学食農学類生産環境学コース 原田茂樹
     (株)日立製作所 木村薫子