◆小特集の趣旨
人口減少や高齢化の進行に伴い,農村の維持が困難になりつつあります。このような背景の下,食料・農業・
農村基本法が改正され,農村をめぐる情勢の変化が生じる状況においても地域社会が維持されるよう農村の振
興を図ることの必要性が明記されました。これを受け,農山漁村政策の再構築を進める旨の総理発言があり,
特に地域資源を活かした産業振興,人材の確保,農村への人の呼込みなどが重要な課題と位置づけられています。
また,農業の有する多面的機能は,農村地域での日常的な生活や農業生産活動などによって維持されていま
す。これを支える手段として多面的機能支払交付金の制度があり,農地の維持や資源保全の活動を支えていま
すが,人口減少や高齢化は,この制度を活用した組織の活動にも影響を及ぼしています。農業生産面では,
ICT の導入によるスマート農業が注目されていますが,多面的機能の視点からも,農地維持や資源保全,農
村集落の活性化に対する農業農村工学の貢献が問われています。
本小特集では,地域資源を活かした産業振興,次代への承継を見据えた人材の確保など,中山間地域に限ら
ずあらゆる地域を対象にした,現場で取り組まれている農村振興に関する報文を紹介します。
◆展 望 「農村の維持から発展に向けて」
農研機構農村工学研究部門所長 桐 博英
◆小特集報文
「ICT による次代への里山情報と農村の多面的機能の共有」
信州大学農学部 岩﨑 史
「輸出重点品目・錦鯉の振興に不可欠な豪雪中山間地の振興」
新潟大学自然科学系 坂田寧代
元 新潟大学農学部農学科流域環境学プログラム 上野雅幸・木村優希
「地域資源を生かした農村ツーリズムの開発と実践的展開」
京都大学大学院地球環境学舎 三宅康介
兵庫県立大学大学院環境人間学研究科 服部佑亮
兵庫県立大学環境人間学部 三宅康成
