◆小特集の趣旨
2011 年に東日本を襲った巨大地震によって多くの尊い人命が失われただけでなく,農業生産基盤を含む社
会資本にも大きな爪痕を残しました。
あの未曽有の惨事から10年が経過し,被災地は一定の復旧を成し遂げたと言ってよいでしょう。原子力災
害が発生した福島県はその災害の特殊性から人々の帰還は遅いものの,着実に復興の足掛かりを固めています。
本小特集では,巨大地震が引き起こした災害からの復旧に立ち向かい,地方創成を成し遂げつつある福島県
において農業農村工学会大会講演会(Web)が開催されることを契機に,農業農村工学が行政,研究,民間
の総力を挙げて実学としての力を発揮し,震災からの復旧,復興等に貢献したことに焦点を当てて,福島県,
宮城県,岩手県の復興の状況と今後の課題・展望を報告します。
◆展 望
「東日本大震災からの農業と農村の復興に向けて」
東北農政局農村振興部長 原川忠典
◆小特集報文
「東日本大震災に対する農地・農業用施設の復旧・復興状況」
関東農政局農村振興部水利整備課 渡邊俊介
関東農政局利根川水系土地改良調査管理事務所 佐藤一宏
東北農政局岩手山麓農業水利事業所 山田明広
「福島県における復旧・復興の課題と今後の展望」
福島県農林水産部農村計画課 宍戸潤一・鈴木秀一郎・齋藤 淳
「東日本大震災における10年間の復旧・復興の成果と課題」
宮城大学事業構想学群 郷古雅春
元宮城県農政部 千葉伸裕
宮城大学事業構想学群 中沢 峻・千葉克己
「岩手県の沿岸地域における復旧・復興の取組み」
岩手県農林水産部農村建設課 佐々木 毅
「請戸川の水を用いた水稲栽培における放射性セシウムの影響」
福島大学農学群食農学類 申 文浩
農研機構農村工学研究部門 久保田富次郎
「原発事故後の初期における農業用水に関する調査研究と教訓」
農研機構農村工学研究部門 久保田富次郎・濵田康治・人見忠良