学会誌 第88巻第5号 Society 5.0 に向かう農業農村工学(2020年5月発行)

◆小特集の趣旨
 Society 5.0 とは,狩猟社会(Society 1.0),農耕社会(Society 2.0),工業社会(Society 3.0),情報社会
(Society 4.0)に続く,新たな社会を指すもので,第5 期科学技術基本計画においてわが国が目指すべき未来社
会の姿として3 年ほど前に提唱されました。Society 5.0 の基本的なコンセプトはサイバー空間(仮想空間)と
フィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより,経済発展と社会的課題の解決を両立する人
間中心の社会と定義されています。
 政府が2019 年6 月21 日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太方針)の副題は,「『令
和』新時代:『Society 5.0』への挑戦」であり,Society 5.0 の実現に向けた流れが各方面で加速しています。農
業農村工学会誌においても,これまでの小特集で,IoT,ICTの導入事例やソフトウェア開発などの個別技術に
ついてさまざまな取組みを紹介しています。また,自動運転農機が実用化の段階に達するなど,周辺分野でも
さまざまな技術革新が起こっています。
 このような動きに対応して,農業農村工学の技術者・研究者として求められる役割やあるべき姿が急速に変
化していくことが考えられます。たとえば,Society 5.0 のための農業農村インフラはこれまでの時代のもの
とは大きく異なるはずです。
 そこで,本小特集では,Society 5.0 に向けた農業農村工学の先進的な取組み,今後の展望などについて紹介
しています。

◆展 望 「Society 5.0を志向したスマートな農業農村地域の創出」 農研機構農村工学研究部門 髙木強治

◆小特集報文
Society 5.0と農業農村振興」
     農林水産省農村振興局整備部地域整備課 松岡宗太郎・平山周作
Society 5.0へ変化を続ける農業・農村」
     東洋大学経営学部 関 勝寿
Society 5.0に向けた農業農村工学技術者に求められる視点」
     農研機構農村工学研究部門 北村浩二
水管理へのICT 導入による水利秩序の継承と再構築の検討事例」
     農研機構農村工学研究部門 友正達美・中矢哲郎・藤山 宗・武馬夏希
情報通信技術を備えた圃場給水機による減水深推定の課題」
     農研機構農村工学研究部門 坂田 賢・友正達美
AI による画像認識を活用した野生動物の判別」
     農研機構農村工学研究部門 成岡道男