第37回 研究集会 開催報告

 農地保全研究部会は、テーマを 「農地保全と自然災害」 とし、研究集会を平成28年11月17日(木)に、高知大学メディアホール(高知市)において開催した。参加者は大学・研究所関係者21名、行政職員38名、民間企業技術者20名、一般聴講者3名、計81名であった。開会式で佐藤泰一郎部会長と農林水産省中国四国農政局農村振興部水間啓慈防災課長のご挨拶のあと、農地保全技術・研究、地震災害と復旧、業務継続計画(BCP)や農業継続計画について、以下の6題の講演をいただいた。

講演1. 高知県の農村地域での地震対策  -香南南部地区における津波避難タワー整備-
        高知県農業振興部 須賀潤一 課長補佐
講演2. 農地の津波被害と復旧に求められる農業土木の工夫
        宮城大食産業学部 千葉克己 准教授
講演3. WEPPモデルを用いた土壌侵食と流域土砂動態の解析  -沖縄赤土流出を対象として-
        宇都宮大農学部 大澤和敏 准教授
講演4. 農地の保全・整備と景観配慮
        東京大学大学院農学生命科学研究科 吉田修一郎 准教授
講演5. 2016年熊本地震に伴う農地・農業用施設等の被害  -海溝型巨大地震災害との比較視点から-
        農研機構 農村工学研究部門 鈴木尚登 室長
講演6. 災害の世紀の農業継続戦略を考える
        徳島大学工学部・環境防災研究センター 中野 晋 教授

 研究集会の最後には、帯広畜産大学 辻修教授と高知大学 佐藤泰一郎准教授の座長のもと、講演者をパネラーとした総合討論を実施し、講演者への質疑応答も含め積極的な討議が展開された。

 続く11月18日(金)には、高知県仁淀川町および日高村での現地研修会を、33名の参加者を集めて開催した。現地研修会は、大渡ダム(仁淀川町)、高瀬国営地すべり対策事業(仁淀川町)、トマト選果施設(日高村)において施設等を視察し、災害対策を含めた説明を受けた。事業関係者への質問と応答も活発に行われ、農地保全と自然災害に対する知見を深める有意義な機会となった。