92巻第6号「中山間地域の永続的成長に向けた課題と展望」(仮)

 

 日本の中山間地域は,耕地面積,総農家数,農業産出額とも約4割を占め,わが国の農業の維持発展に大きく寄与しています。さらに近年,豪雨等の自然災害が増加傾向にあり,土壌侵食や土砂崩壊の防止など,中山間地域の農業・農村の多面的機能が担う役割も増しています。他方,これらの地域では深刻な高齢化や人口減少が進み,農用地・農業用施設等の維持管理さえ困難な状況に陥りつつあり,農業生産活動の減退に加え,生活に必要な機能の弱体化も問題になっています。

 農政の憲法である食料・農業・農村基本法では中山間地域について,「国は,中山間地域等においては,適切な農業生産活動が継続的に行われるよう農業の生産条件に関する不利を補正するための支援を行うこと等により,多面的機能の確保を特に図るための施策を講ずるものとする。」とされています。現在行われている基本法見直しの中間とりまとめ案では,農村人口が減少する中での農村に関する基本的施策として,農村への移住・関係人口の増加,地域コミュニティの維持,農業インフラの機能確保が重要であると発表されました。

 以上より,本小特集では,中山間農村地域の農用地・農業用施設の維持管理や地域資源の保全に関する実態研究や課題,新たな取組みである農村RMO※での課題などに関する報文を募集いたします。

※農村RMO:複数の集落の機能を補完して,農用地保全活動や農業を核とした経済活動と併せて,生活支援等地域コミュニティの維持に資する取組みを行う組織。RMOは,Region Management Organizationの略。