平成27年度九州沖縄支部大会開催される(平成27年10月)

平成27年度九州沖縄支部大会開催される(平成27年10月)

平成27 年度九州沖縄支部大会(第96 回九州沖縄支部講演会・講習会・シンポジウム・交流会・現地見学会)は,平成27 年10 月28〜30 日の3 日間,沖縄県で会員・学生(大学生・高校生)・関係者約300 名が参加して開催されました。平成27 年度九州沖縄支部大会では,シンポジウム「九州・沖縄の農政改革に向けた農業農村整備の課題と展望」に加え,講習会として計画関係「計画基準『農業用水(畑)』」と設計関係「設計指針『耐震設計』」を企画するととともに,学生(大学生・高校生)と九州・沖縄管内の国・県の農業農村整備担当部局参加者による交流会を開催いたしました。
講演会では,オーラルセッションを一般研究課題と先進的・萌芽的研究課題に分けて発表いただくとともに,大学生・院生を対象とするポスターセッションを設けて,10 月28 日と29 日の2 日間にわたっての開催となりました。また,初日のポスター賞授賞式の後に懇親会を催すとともに,最終日(3 日目)の10月30 日には,沖縄本島南部エリアを巡る現地見学会を企画して,海洋王国として栄えた琉球の歴史・文化・風土に触れながら,自然豊かなわが国唯一の亜熱帯島しょ地域である沖縄の農業農村整備をテーマに,朝から終日にわたり関連地3 カ所を駆け巡りました。このようなプログラムから成る九州沖縄支部大会は,講演会・講習会・シンポジウム・交流会・情報交換会・現地見学会をあわせて盛会のうちに終了し,支部会員の活動成果報告と学術交流という支部大会の主目的を果たすことができたものと考えております。
具体的な九州沖縄支部大会の内容と成果についてその概要を紹介いたします。九州沖縄支部大会は,10月28 日(水)に那覇市「ANA クラウンプラザホテル沖縄ハーバービュー」において,支部顧問である宜保清一琉球大学名誉教授,加藤治佐賀大学名誉教授,吉永安俊琉球大学名誉教授にご臨席いただき,開会式が行われました。中野拓治支部長(琉球大学農学部教授)の開会挨拶があり,林田直樹副会長の来賓祝辞とともに開催県である沖縄県の島田勉農林水産部長の歓迎挨拶がなされました。
開会式に引き続き,支部賞授賞式が行われ,支部賞選考委員会委員長近藤文義佐賀大学農学部教授から優秀賞3 件についての選考経過報告があり,中野支部長より受賞者に賞状と記念品が授与されました。その際,ミス沖縄による歓迎事業として大会参加者への歓迎スピーチがなされ,優秀賞への授賞介添えが行われました。優秀賞の講演題目・受賞者は,次のとおりです。
・ため池整備工事野稲原溜池地区における設計VE事例について
大分県農林水産部工事技術管理室 中野篤史
・DIG を活用した「ため池ハザードマップ作成」
鹿児島県土地改良事業団体連合会 坂上和秀・安田喜輝・内村正臣
・有明海海域環境の改善に向けた海域環境の特徴抽出
九州大学大学院農学研究院 田畑俊範


支部長賞 表彰式
講演会は初日と2 日目午後に3 会場で行われ,74編(口頭発表:64編(一般研究課題:60編,先進的・萌芽的研究課題:4 編),ポスター発表:10編)の講演課題数となりました。オーラルセッションは,3 会場で1 課題当たり,発表時間10 分・質疑応答2 分の12分で行われ,各会場とも熱のこもった講演と活発な質疑応答がなされました。初日のオーラルセッションと併行して13 時から14 時までポスターセッションが開催され,10件のポスターが展示・発表されました。
セッション終了後にポスター賞の受賞者が参加者の投票結果により選考され,次の2件(発表申込順)のポスター賞が表彰されました。
・湖の熱環境に影響を及ぼす地域的環境要因
鹿児島大学農学部 村田龍星
・奄美大島の崩壊性地すべりの発生と先行降雨
琉球大学大学院 上原弓奈
情報交換会は,支部大会初日の18 時から71 名の参加を得て開催されました。中野支部長の開会挨拶に続き,沖縄県の玉城肇農漁村基盤統括監の挨拶,その後,宜保清一名誉教授による乾杯で歓談がはじまり,場の雰囲気も盛り上がり,料理と地酒(泡盛)を手に参加者同士で和やかな時間が過ぎました。閉会も近づき,開催地である沖縄総合事務局の島尾武文土地改良課長の挨拶とともに,長裕幸佐賀大学教授から鹿児島県での支部大会開催に向けたご挨拶を頂き,情報交換会を閉じました。
翌日の10 月29 日(木)の午前には,シンポジウムが「九州・沖縄の農政改革に向けた農業農村整備の課題と展望」をテーマとして開催されました。シンポジウムは131 名の参加があり,特別講演,講演,報告が行われました。
【特別講演】
・21 世紀の活力ある農業農村の創造に向けた地域総合農業工学の展開の必要性と取組
琉球大学名誉教授 宜保清一
【講演】
・若者がまちを元気にする!
皇學館大學特命教授 岸川政之
【報告】
・西原町からの高校生・大学生による地域づくりへの挑戦!
琉球大学農学部教授中野拓治
講演終了後,仲村渠将琉球大学准教授の総合司会のもとで,質疑応答が活発に行われました。
午後からは13 時から14 時まで九州・沖縄管内における国・県の農業農村整備の特徴・内容やその役割と仕事について,理解を深めてもらう目的で,九州農政局・沖縄総合事務局と九州・沖縄各県でブースを設けて,大学生・高校生との交流会を開催したところ,琉球大学の2 年次・3 年次をはじめ大学生30 名,高校生4 名の参加を頂きました。参加学生にアンケートを実施したところ,非常に有意義であり,今後もこのような交流会の開催を望む声が多く寄せられ,今回の支部大会で初めての試みとして企画したものとしてはうれしい限りであります(詳細は次号の学会誌で報告する予定)。交流会の後は,琉球大学の2 年次学生は「農村農地整備学」の授業の一環としての参加であるため,午後の講演会(灌漑排水,農地造成・整備・保全,農村計画)を聴講してもらい,農業農村工学会支部活動の啓発の一助となりました。

  
交流会                 現地見学会(慶座地下ダム)

さらに,初日10 月28 日午後(15 時45 分から16 時45分)に「計画基準『農業用水(畑)』」をテーマとして農林水産省農村振興局農村政策部の野口補佐を講師に迎えて,講習会を開催するとともに,2 日目の午後(15 時45 分から16 時45 分)には設計関係の講習会として,農林水産省農村振興局整備部の鈴木補佐に「設計指針『耐震設計』」について解説をお願いいたしました。両講習会とも九州・沖縄管内の農業農村工学分野の技術者や研究者の多くの皆さん(参加者数合計171 名)にご参加いただき,活発な質疑のもと盛会に終了したところです。
3 日目の現地見学会は,ANA クラウンプラザホテル沖縄ハーバービューの正面玄関前に朝8 時30 分に集合いただき,34 名の参加を得て実施いたしました。
①畑地帯総合整備事業喜屋武地区,②慶座地下ダム,および③平和記念資料館の3 カ所を視察いたしました。
現地見学会当日は天候にも恵まれたことから交通事情による影響もなく,15 時の那覇空港着までの終日の見学会となり,見学地各所において亜熱帯島しょ地域での農業農村整備について説明があり,参加者は熱心に聞いておられました。
今回の九州沖縄支部大会の開催に際して,沖縄県ご当局に農業農村工学会九州沖縄支部沖縄大会運営委員会(委員長:仲村剛村づくり計画課長)を組織していただき,沖縄県からの全面的なご支援とご協力を賜ったところです。その結果,今回の支部大会を沖縄県との共催としていただくとともに,(一財)沖縄観光コンベンションビューローからのシンポジウム開催への歓迎事業による支援・協力を得ることができました。学会員ばかりでなく多くの方々からご支援を頂きました。この場をお借りして,感謝申し上げる次第です。
(琉球大学農学部中野拓治・仲村渠将・中村真也)