平成26年度九州沖縄支部大会開催される(平成26年10月)

平成26年度九州沖縄支部大会開催される(平成26年10月)

平成26 年度九州沖縄支部大会(第95 回九州沖縄支部講演会,シンポジウム,現地見学会)は,平成26 年10 月29日と30日の両日,佐賀県で会員・関係者159名が参加して開催された。
九州沖縄支部大会は,10 月29 日(水)に佐賀市「グランデはがくれ」において,支部顧問の加藤治佐賀大学名誉教授にご臨席いただき,開会式が行われた。中野拓治支部長(琉球大学農学部教授)の開会挨拶があり,小前隆美専務理事の来賓祝辞とともに開催県である佐賀県の山口武彦農山漁村課長の歓迎挨拶がなされた。
開会式に引き続き,支部賞授賞式が行われた。近藤文義支部賞選考委員会副委員長(佐賀大学農学部教授)から優秀賞3 件,研鑽賞2 件についての選考経過報告があり,中野支部長より受賞者に賞状と記念品が授与された。優秀賞の講演題目・受賞者と研鑽賞の受賞者は,次のとおりであった。
【優秀賞】
・ライフサイクルコスト低減に向けた農業集落排水処理施設水槽防食工法の検討事例
佐賀県東部農林事務所 中尾淳
佐賀県土地改良事業団体連合会 赤崎公壽
・楠浦地区における地下灌漑システム(FOEAS)整備の取組み
熊本県県南広域本部農業普及振興課 増田慎也
・徳之島ダムの魚類等遡上水路について
(一財)日本水土総合研究所 後藤光喜
【研鑽賞】
・大分県中部振興局農林基盤部 田中賢治
・宮崎県土地改良事業団体連合会 湯浅徹
九州沖縄支部講演会は4 会場で行われ,講演題数は73 編(口頭発表:65 編,ポスター発表:8 編)であった。オーラルセッションは3 会場で行われ,各会場とも熱のこもった講演と活発な質疑応答がなされた。オーラルセッションと併行して1 2 時から14 時までポスターセッションが開催され,8 件のポスターが展示・発表された。セッション終了後にポスター賞の受賞者が参加者の投票結果により選考され,次の4 件(課題番号順)のポスター賞が表彰された。
・琉球石灰岩分布地域地下水の硝化・脱窒メカニズムに関する研究
琉球大学農学部 越口沙衣
・降下軽石層の不飽和強度特性
鹿児島大学大学院農学研究科 田中駿
・連続流入間欠ばっ気活性汚泥方式農業集落排水施設の除去性能と運転効率化に関する研究
琉球大学大学院農学研究科 李雨桐
・屋上緑化植物としてのスナゴケの可能性について-廃棄GFRP を軽量屋上緑化基盤材とした場合-
宮崎大学大学院農学研究科 高岡良多
翌日の10 月30 日(木)には,シンポジウムが「九州・沖縄の農政改革に向けた農業農村整備の課題と展望」をテーマとして開催された。シンポジウムには90名の参加があり,次の2 題の講演が行われた。
・21 世紀の活力ある農業農村の創造に向けて(未来対応型リーダー人材育成活動を通じた地域総合農業工学展開の必要性と取組)
琉球大学農学部 中野拓治
・農地・水・環境保全活動と連携した未来対応型リーダー人材育成活動(沖縄県糸満市における事例紹介)
糸満市土地改良区合同事務所 金城健正、玉城佑一
講演終了後,仲村渠将琉球大学准教授の総合司会のもとで,質疑応答が活発に行われた。
午後からは「佐賀県内の農業農村整備」をテーマにした現地見学会が32 名の参加者で行われた。国営総合農地防災事業嘉瀬川上流地区(九州農政局)の北山ダムにおいて,貯水池法面の崩壊や貯水池内堆砂の進行などにより低下したダムの機能回復を図るための堆砂対策,法面保護,洪水吐ゲートなどの整備状況について説明を受けた。また,富士大和森林組合施設では佐賀県関係者からクリーク法面の護岸整備に森林間伐材などを有効活用した木柵工を採用した「県営クリーク防災事業」を通じて,木材利用の促進も併せて図っていることが紹介されるとともに,佐賀市東部地区クリーク防災機能保全対策事業地内で整備工事の状況と地域に果たす役割について説明があり,参加者は熱心に聞いていた。
今回の九州沖縄支部大会の開催に際して,佐賀県県土づくり本部や九州農政局の関係各位から多大なご尽力を頂いた。学会員ばかりでなく多くの方々からご支援を頂いた。この場をお借りして,感謝申し上げる次第である。
(琉球大学農学部中野拓治・仲村渠将・中村真也)