平成25年度九州沖縄支部大会開催される(平成25年11月)

平成25年度九州沖縄支部大会開催される(平成25年11月)

平成25 年11 月6 日(水)と7 日(木)の両日に,宮崎市の宮崎観光ホテルにおいて平成25 年度九州沖縄支部大会(第94 回九州沖縄支部講演会,シンポジウム,第36 回講習会および現地見学会)が開催された。それぞれの参加者数は順に197 名,27 名,83 名および32 名であり,講演会の講演題数は61 編であった。
11 月6 日には,9 時30 分から10 時まで開会式が行われ,細川吉晴支部長(宮崎大学農学部教授)の開会挨拶があり,続いて塩沢昌農業農村工学会会長の来賓祝辞および開催県である宮崎県の緒方文彦農政水産部長の歓迎挨拶があった。また,支部顧問の瀬口昌洋佐賀大学副学長にもご出席いただいた。
引き続き,10 時から10 時30 分に支部賞授賞式が行われた。凌しのぎ祥之支部賞選考委員長(九州大学農学研究院教授)から優秀賞3件,研鑽賞2件についての選考経過報告があり,その後,細川支部長より受賞者に賞状と記念品が授与された。優秀賞の講演題目と受賞者および研鑽賞の受賞者は,次のとおりであった。
【優秀賞】
・さく井工実施におけるDI 法電気探査の採用について-梅洞地区経営体育成基盤整備事業
熊本県熊本農政事務所農地整備課 井手照公
・低平地の農業用水路での小水力発電における実証試験-超低落差用フラッタ方式水力発電システムの開発
(株)技術開発コンサルタント 木原泰信・黒谷透・藤永正幸
・低平地における排水計画について田尻地区排水計画の検証
長崎県県央振興局農林部農村整備課 平山聡司
長崎県県央振興局農林部土地改良課 田崎裕悟
【研鑽賞】
・熊本県熊本農政事務所農地整備課 井手照公
・(株)技術開発コンサルタント 田村和彦
その後,10 時30 分から15 時48 分まで講演会が行われた。今年度は3 会場で,1 課題当たり,発表時間10 分,質疑応答2 分の合計12 分とした。各会場において,熱のこもった講演が行われ,活発な質疑応答がなされた。また,16 時から16 時30分まで「農業農村整備に関する技術開発計画の改定について」という題目で農林水産省農村振興局整備部設計課平山和徳課長補佐による特別セッションがあり,質疑応答も活発であった。
さらに,講演会と併行して12 時から14 時までポスターセッションがロビーで開催され,6 件のポスターが展示・発表された。その終了後に参加者の投票結果によりポスター賞の受賞者が選考され,16 時30 分から次の3 件(発表申込順)が表彰された。
・湧水を利用したマイクロ水力発電の導入に関する研究
宮崎大学農学部 篠原穂高
・琉球石灰岩における地下水中の窒素輸送特性の解明と窒素除去技術の開発
琉球大学農学部聖川ひじかわ健斗
・炭化物施用による土壌や作物品質に及ぼす影響解明
九州大学大学院生物資源環境科学府 川地智子
翌日の11月7 日には,9 時30 分から11時20分までシンポジウム「九州沖縄における土と水に関する諸問題」が行われた。次の2 題の講演があり,おのおの30分ほど最近の研究成果について発表された。
・Quick Clay Development and Cation Compositionof Pore Water in Marine Clays from Ariake,Japan(海成粘土(有明粘土)におけるクイッククレーの生成と間隙水の陽イオン組成の関係)
九州大学大学院 He Phanny
・沖縄県サトウキビ畑における化学肥料由来のN2O排出特性に関する研究
琉球大学農学部 酒井一人
これらの講演終了後,多炭雅博宮崎大学農学部准教授の総合司会のもとで,質疑応答が活発に行われた。
また,別会場では,9 時30 分から11 時まで講習会が行われた。その内容は「土地改良事業計画設計基準計画『ほ場整備(水田)』について」(農林水産省農村振興局農村政策部農村環境課川上昭彦課長補佐),「土地改
良事業計画設計基準・設計『水路工』『水路トンネル』について」,「農業水利施設の補修/補強工事に関する
マニュアル〔開水路補修編〕(案)について」および「農業農村整備に関する技術開発計画の改定について」
(前述,平山課長補佐)であった。
さらに,午後からは「宮崎県西都さいと・児湯こゆ地域の畑地灌漑」の現地見学会を行った。西都市のジェイエイ
フーズみやざき冷凍野菜加工施設を見学後,切原きりばるダムでは九州農政局関係者からダム完成の経緯と地域に果たす役割について説明を受けた。また,大規模経営実証圃場では宮崎県関係者より畑地灌漑の営農ビジョンの説明と自走式散水機の実演などがあり,参加者は熱心に聞いていた。
今回の九州沖縄支部大会の開催に際して,宮崎県農政水産部の関係各位から多大なご尽力を頂いた。また,学会員ばかりでなく多くの方々からご支援を頂いた。この場をお借りして,感謝申し上げる次第である。
(宮崎大学農学部 細川吉晴・豊満幸雄)