京都支部第69回研究発表会開催される(平成24年11月)

京都支部第69回研究発表会開催される(平成24年11月)

第69 回京都支部研究発表会は,平成24 年11 月21日(水),354 名の参加者を得て,新潟市の新潟ユニゾンプラザにて開催された。開会式では,石黒覚支部長の開会挨拶に続き,来賓の久野格彦農業農村工学会副会長,大澤祐一北陸農政局整備部長,圓山満久新潟県農地部長の3氏より祝辞が述べられた。次に,高瀬恵次支部賞選考委員会委員長より,昨年度の研究発表課題から選出された下記の優秀賞6 件と研究奨励賞5件の選考経過について報告され,支部長より賞状と記念品が授与された。
【優秀賞】
・多様な主体の参画によるため池の保全〔里と海の連携〕
兵庫県農政環境部農林水産局農村環境室 大西孝
・小スペースにおける除塵施設の新たな取り組み
石川県石川農林総合事務所 平本雅志・高橋市朗
・ベントナイトシートを用いたため池の改修工事
兵庫県丹波県民局丹波農林振興事務所篠山土地改良事務所 青山正義
・農と消費を結びつけるプロジェクト〜南山城村の事例を通じて〜
近畿農政局整備部水利整備課 晴佐久浩司
・カワバタモロコを保全対象とした環境配慮型水路における魚類相の変遷
愛知県農業総合試験場 小室正人・横井久善
・生態保全工法としてのゆりかご水路の検証について
滋賀県高島農業農村振興事務所 硲登志之
【研究奨励賞】
・水質保全のための効率的な浄化用水導入方法に関する研究
新潟大学大学院自然科学研究科 小原ひとみ
・波付き管水田魚道におけるドジョウカウンターの適用
新潟大学大学院自然科学研究科 斎藤敬吾
・管剛性が地盤のせん断変形を受ける埋設管の挙動に与える影響
神戸大学大学院農学研究科 岩崎善之
・鉄粉混合地盤の硝酸還元効果に関する実験的検討
神戸大学大学院農学研究科 島田遥・鈴木克季
・EPS 破砕片混合の有効利用に関する実験
地盤の衝撃吸収効果についての考察
大阪府立大学生命環境科学研究科阪口皓亮
引き続き,基調講演「トキと暮らす島生物多様性佐渡戦略」と題して,新潟県佐渡市長の甲斐元也氏による講演が行われた。佐渡における生物多様性の保全・利用に関する基本的な戦略と,各地域の環境特性に応じた取組み方針を写真や図などを示して説明された。戦略の目標期間を90 年間に設定し,現在生活している人に加え,今生まれつつある子供たちとその孫の代に至るまでの長期ビジョンで取り組むことを述べられた。
午後からの研究発表会は同じ新潟ユニゾンプラザにおいて,今回,施設管理・更新の部門を新たに設け,7 会場に分かれて91 編の研究発表が行われた。民間,行政,研究機関から日々の研究や業務から培われた質の高い発表と活発な議論がなされた。
研究発表会終了後に新潟県土地改良会館において,72 名の会員が参加して情報交換会が行われた。米どころ新潟の自慢の地酒や地元食材を活かした料理が振る舞われた。和やかで楽しい会話にはずんだ情報交換会は,次年度開催の京都府農林水産部五島省吾副課長によるご挨拶と一本締めでお開きとなった。
翌22 日には現地研修会が2 コースで行われた。新潟平野を巡る「北周りコース」には23 名が参加し,内の倉発電所と福島潟の現場見学が行われた。ダム放流水を利用した小水力発電所の内部見学は発電の仕組みを体感できる貴重な機会であった。一方,「南周りコース」には24 名が参加し,国営農業水利事業で施工している新川河口排水機場のポンプ設備などの更新工事,西蒲原排水中央管理所における広域の排水管理の状況を視察した。両コースとも道の駅・新潟ふるさと村で昼食および見学をした後,亀田郷土地改良区において土地改良事業の歴史と現在取り組んでいる事業について説明を受けた。
最後に本研究発表会ならびに現地研修会などの実施に当たり,多大なご尽力を頂いた新潟県農地部ならびに新潟大学の皆様方に厚くお礼を申し上げます。
(三重大学大学院生物資源学研究科 石黒覚)