第64回関東支部大会講演会・地方講習会開催される(平成25年10月)

第64回関東支部大会講演会・地方講習会開催される(平成25年10月)

平成25 年10 月30 日(水),栃木県宇都宮市栃木県総合文化センターにて第64 回関東支部大会講演会・支部講習会(シンポジウム)が開催された。開会式では,栃木県農政部農地整備課池田真久課長の開式の辞,中村好男支部長の挨拶に続き,来賓として栃木県農政部南斎好伸次長ならびに農業農村工学会中條康朗副会長よりご祝辞を賜った。引き続き開催された講演会には234 名が参加し,3 会場で27課題の研究発表が行われた。講演の内訳は,行政関係が8件,独立行政法人が7 件,民間が2 件,大学関係が10件であった。
講演会終了後に,関東農政局との共催による地方講習会をサブホールにて開催した。今年度は,「農業農村における再生可能エネルギーを考える〜農業農村整備事業における再生可能エネルギーの実情と今後の可能性について〜」をテーマとし,関東農政局整備部川合規史設計課長の司会によって進められた。
講習会の趣旨は,東日本大震災を機に,国のエネルギー政策が大きく転換し,固定価格買取制度をはじめとする各種支援措置が講じられることになり,従来より維持管理費軽減などの手段として小水力発電を推進してきた農業農村整備事業においても,小水力にとどまらず,太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を推進するなど,一層の成長期を迎えている。そして,固定価格買取制度などの制度が変わった今,維持管理費の軽減という一面だけでなく,農村を取り巻く環境も含めてどう考えるべきか,農村の持つエネルギーをいかに有効活用できるか,また,農村振興面での従前からの取組みに加え,農業農村整備事業における再生可能エネルギーの実態,それらに伴う課題や効果などについて,栃木県での2 事例および現在実施中の国営地区の1 事例を取り上げることにした。
講習会での講演者と講演テーマを次に紹介する。まず,那須野ケ原土地改良区連合参事の星野恵美子氏から「再生可能エネルギーの導入・運営の視点から」と題した講演が行われた。続いて,栃木県内の取組みとして,栃木県農政部農村振興課の増田康則課長補佐から「栃木発再生可能エネルギービジネスモデル創造特区について」と題した講演が行われた。そして,最後に関東農政局中信平二期農業水利事業所長の江上博司氏より「中信平小水力発電所の諸課題と効果」と題して講演が行われた。以上の講演に対して質疑が行われ,関東支部管内での農業農村整備事業における再生可能エネルギーの実情と今後の可能性について理解を深めることができた。
その後,平成24 年度の関東支部大会での支部賞受賞者への授賞式が行われ,冒頭,松岡延浩支部賞選考委員長(千葉大学大学院)から,優秀賞3件,奨励賞4 件についての選考経過報告があり,引き続いて支部長より受賞者に賞状と副賞が授与された。
優秀賞,奨励賞の講演題目と受賞者は次のとおりである(受賞者の所属は昨年度の講演会発表時のものである)。なお,研鑽賞および功労賞は該当者なしであった。
【優秀賞】
・二次元不定流解析を用いたため池氾濫シミュレーション
(株)日本水工コンサルタント 伊藤久也
・富士山東麓の火山砂礫を利用した砂防ソイルセメント工法
静岡県交通基盤部農地局農地保全課 吉田大祐
・変状のある水路トンネルの機能診断について
(独)水資源機構群馬用水管理所 海老原央嗣
【奨励賞】
・静岡県菊川市千框棚田における灌漑システムと還元水の水質動態に関する研究
東京農業大学大学院農学研究科 矢島正基
・寒冷地農地における土壌凍結期の水分動態に関する研究
東京農業大学大学院農学研究科 三井ともみ
・大規模灌漑水田地区における農家の労務提供による幹支線用排水路の維持管理
筑波大学大学院生命環境科学研究科 進藤亮次
・長野県北部地震後・栄村における2 年間の水田土地利用の変化と集落の持続
信州大学農学部 奥村拓朗
授賞式終了後閉会式が行われ,その後場所を総合文化センター内のレストランに移して65 名の会員の参加のもとに情報交換会が開催された。交換会は,栃木県農政部農村振興課清水靖夫総括補佐の司会によって進められ,最初に栃木県農政部池田真久農地整備課長から歓迎の挨拶,続いて関東農政局大田武志整備部長の主催者挨拶があり,栃木県農政部農村振興課渋井太美雄指導検査班長の乾杯の発声によって交換会が始められた。交換会では栃木県の地酒が振る舞われ,和やかなうちに次年度の開催県を代表して,群馬県農政部農村整備課吉田輝彦課長補佐によるご挨拶と万歳三唱によって無事に関東支部大会の全日程を終了した。
(東京農業大学中村好男)