平成24 年10 月17 日(水),埼玉県さいたま市大宮ソニックシティにて第63 回関東支部大会講演会・支部講習会(シンポジウム)が開催された。大会開会式では,埼玉県農林部農村整備課の寺西智課長の開式の辞,中村好男支部長(東京農業大学)の挨拶に続き,来賓として埼玉県の茅根悟農林部副部長ならびに農業農村工学会塩沢昌会長よりご祝辞を賜った。引き続き開催された講演会には226 名が参加し,3 会場で33 課題の研究発表が行われた。講演の内訳は,行政関係が6 件,独立行政法人および機構が12 件,大学が13件,民間が2件であった。
講演会後に,関東農政局との共催による地方講習会を小ホールにて開催した。今年度は,昨年度のテーマであった「東日本大震災の被害と今後想定される災害への対応」に引き続き,「業務継続計画を考える〜大規模地震等の発生に備えて〜」をテーマとし,関東農政局整備部植野栄治設計課長の司会によって講習会が進められた。
講習会での講演者と講演テーマを次に紹介する。まず,(一財)日本水土総合研究所主席研究員の小泉勝氏から「両総農業水利事業所業務継続計画策定の経緯と東日本大震災の際の行動について」と題する基調講演が行われた後,静岡県交通基盤部農地局農地課主査の渡邊洋介氏より静岡県の取組み事例として「土地改良施設維持管理業務継続計画モデルプランの推進について」と題した報告がなされた。続いて,取組み紹介として,関東農政局整備部設計課課長補佐の大内英司氏より「農林水産省・関東農政局の取組」と題した報告がなされた。
その後,平成23 年度支部賞授賞式が行われ,冒頭,松岡延浩支部賞選考委員長(千葉大学大学院)から,優秀賞3件,奨励賞3件,研鑽賞1件,功労賞1件についての選考経過報告があり,引き続いて支部長より受賞者に賞状と副賞が授与された。
優秀賞,奨励賞の講演題目と受賞者および研鑽賞,功労賞の受賞者は次のとおりである。
【優秀賞】
・IT を活用したダムの施工管理について―搗の木川調節池工事における施工事例―
静岡県東部農林事務所御殿場支所 上沼辰則
・水路トンネル改修工事の事例報告
関東農政局大井川用水農業水利事業所 平山忠男
・東日本大震災による両総土地改良施設の被災状況及び復旧方法について
関東農政局両総農業水利事業所 西澤慧
【奨励賞】
・東日本大震災に際して滞在型市民農園が取った対応とそこに見られた問題点─宮城県丸森町のクラインガルテンを事例として─
東京農工大学大学院連合農学研究科 井上真美
・水田土壌におけるANAMMOX 反応の季節変動
茨城大学大学院農学研究科 三浦大斗
・地域住民による耕作放棄地解消の取組み─岐阜県恵那市中野方町の非農業者組織「援農笠置山」の事例─
信州大学農学部 武井勇志
【研鑽賞】
・(株)日本水工コンサルタント 伊藤久也
【功労賞】
・(株)日本水工コンサルタント
授賞式終了後閉会式が行われ,場所をソニックシティビル内に移して74 名の会員の参加のもとに情報交換会が行われた。交換会では,埼玉県の地酒が振る舞われ,和やかなうちに次年度開催県を代表して,栃木県農政部農村振興課後藤伸一副検査官によるご挨拶と一本締めによって無事に支部大会の全日程を終了した。
(東京農業大学 中村好男)