東北支部第54回研究発表会・特別報告会開催(平成23年11月)

東北支部第54回研究発表会・特別報告会開催(平成23年11月)

東北支部第54回研究発表会・特別報告会(公開)「東日本大震災『農地・農業用施設被害調査』報告」開催される

平成23年11月26日(土)に,山形県鶴岡市の山形大学農学部3号館301講堂において,東北支部第54回研究発表会・平成23年度農業農村工学会東北支部総会特別報告会(公開)「東日本大震災『農地・農業用施設被害調査』報告」が開催された。総会・研究発表会が157名,特別報告会では約200名の参加があり,会場は埋め尽くされた。


支部総会開会式 佐藤支部長挨拶

支部総会は,安中武幸(山形大学)大会運営副委員長の開会の挨拶,主催者を代表し佐藤照男(秋田県立大学)東北支部長・大会運営委員長の挨拶に続き,地元の会田稔夫山形県庄内総合支庁長,西澤隆山形大学農学部長,学会を代表して中條康朗副会長,東北農政局の堀畑正純整備部長から祝辞を賜った。引き続き,支部賞授賞式に移り,第53回研究発表会審査委員長の工藤明弘前大学教授より審査の経緯と結果が報告され,各受賞者に佐藤支部長より賞状と副賞が授与された。東北支部賞の受賞者は次のとおりである。

【優秀賞】
・カワシンジュガイに配慮した水路設計について
岩手県県北広域振興局  煙山義史・鈴木昭和
・二戸市舌崎地区における畑地かんがい施設の有効利用と維持管理について
岩手県県北広域振興局  佐々木浩由・嵯峨淳一
・農業水利施設における鉄筋コンクリートを対象とした簡易な非破壊試験の調査手法について
山形県農林水産部 鏡信男・大場俊則・小野崎公喜
【研鑽賞】
・宮城県東部地方振興事務所 後藤徳男
・岩手県県南広域振興局 小野寺忠夫
【奨励賞】
・A novel simple and low cost method for measuringgas diffusivity and air permeability over a soilcylinder(単一の土柱を用いた拡散係数および通気係数の簡単で安価な測定方法の開発)
岩手大学大学院農学研究科  Purwoko Hari Kuncoro
・農村資源保全活動の活動実態に関する研究-東北・北海道における農地・水・環境保全向上対策を事例に-
北里大学大学院獣医畜産学研究科  宮田亮
次に「東日本大震災『農地・農業用施設被害調査』報告」と題した特別報告会が公開で行われた。特別報告会では「東北管内の東日本大震災による農地・農業用施設の被災及び復旧状況について」を石川善成東北農政局設計課長より,続いて農業農村工学会災害対応特別委員会の各被害県の担当大学から「岩手における水田を中心とする生産基盤の被害状況と農地の塩分濃度モニタリングの取組み」を武藤由子岩手大学農学部講師より,「宮城県における農地・農業施設の被害実態について」を加藤徹宮城大学食産業学部教授より,「福島県における農地・農業施設の被害実態について」を渡邉一哉山形大学農学部准教授より報告された。また資料にて弘前大学・北里大学チームによる「青森県の災害報告」が報告され,総合司会を嶋栄吉北里大学獣医学部教授が務めた。報告では,農業基盤の甚大で生々しい被災状況の実態や,土地改良区など地域組織の被災実態なども紹介され,今後の復興に向けた課題の大きさと深刻さが報告されるとともに,復興への地道な取組みが紹介され農業農村工学会の役割が再確認された。

午後からは,第54回研究発表会が行われ,特別報告会会場での泉完弘前大学教授を座長とした震災関連の研究報告6課題など,5会場で36課題の研究発表があり,活発な質疑応答が行われた。
研究発表会終了後,東京第一ホテル鶴岡にて情報交換会が行われ,大浦直司山形県農林水産部農村整備課長より歓迎の挨拶を,山本益生鶴岡副市長より来賓挨拶を頂き,事務局担当県の山形県農林水産部横尾繁監理技術主幹から挨拶が行われた。相互の情報交換と親睦が深められ,盛会のうちに終了した。
本年は,支部研修会・地方講習会の開催をやむを得ず断念することとなったが,土曜日開催にもかかわらず,研究発表会および総会・特別報告会へ,東北各県および全国からの多数の参加を賜った。運営では山形県農林水産部,山形大学および東北農政局の関係各位より献身的なご協力ご支援を賜った。衷心より感謝申し上げる次第である。
(秋田県立大学近藤正)